2017年9月6日水曜日

ダサくなりがちな畳コーナーをできるだけステキな空間にしようとがんばった結果


2人暮らしの夫婦にとって、和室はそんなに必要な存在じゃない。あると便利だけど、それは母が訪ねてきたときとか、なんかゴロゴロしたいときとか、リビングにいてどうしてもそのまま寝ちゃいたいときとか、用途がかなり限られる。わりに、坪数を取る。40坪超の大きな家ならおまけ的に付いててもいいけど28坪程度の小さな家にノーマルサイズの和室があったら不自然だしジャマでしょうがない。

我が家の場合はゴロゴロしたいときの需要が抜きん出て高いのもあって、いわゆる和室という空間より狭くていいから畳コーナーがあったらいいよねってことで3畳ほどの畳コーナーをリビングの横に設けた。

しかしこの畳コーナー、いろいろなハウスメーカーの施工事例などを見る限り、かなりダサい。小上がりなんかにした日には目も当てられない。どうしてこうなっちゃったのってくらいダサい。


ぼくらはとても不安になって建具の打ち合わせぐらいのタイミングでネットで拾ったとびっきりダサい施工事例の写真を見せながら「こうはならないよねっ」と設計さんに詰め寄った。

めっちゃ笑われた。

ひとしきり笑ったあと、設計さんはどうしてこうなるんでしょうねと言って首をかしげた。ぼくらはなぜこの小上がり畳コーナーがこんなにダサいのかの検証を開始した。

写真の畳コーナーは畳3枚を横に並べたサイズで長方形。正方形の畳が6枚並んでいる。よくあるやつ。我が家も同じサイズ。

2辺はL字の壁、残りの2辺はリビングに面して開口している。これも我が家と同じ。

リビングに面した長い開口部は小上がりの段差を利用して引き出し収納を3つ設けている。リビングに面した2辺の角には柱が立っている。

床の間はなく、幅の長い方の壁の半分は押入れ収納。短い方の壁には窓があって明るい光が差し込む。


こんな感じ。

窓の上は折り上げ天井と間接照明の贅沢スペシャルコンボ。クロスは他の部分より少しトーンを落とした茶色っぽい和風を意識した色。仕切りの障子はなく開口部は閉じない仕様。畳コーナーの外にはニッチがあったり窓の横には極小の飾り棚が3つ不規則に並んでいる。

そこそこ凝った作り。

なのに、なぜダサいんだろう。

まず目につくのは角の柱。それがクロス巻きで真っ白。この『クロス巻きの柱』ってのがかなり安っぽさを演出していると思われる。また、2つの面が壁ってのも残念。閉塞感が安っぽい。押入れの存在が昭和くさい。

極め付けが小上がり引き出し収納。これが3つも並んじゃってる。どうせ使いもしないのに。いや、使うだろうけどたぶん使いにくいから生涯おそらく使わないでしょうと思われるものをしまうために使う、みたいな。使ってんだか使われてんだか使わされてんだかよくわからんけど存在そのものが残念。見た目もかなり残念。

同じものが3つ並んでてなんかダサいなって思うものは他にも。以前からとてもよく見かける三連スリット窓。建売住宅でもよく見かけるようになった。ダサいというより見飽きただけかも。高い位置のものは外から見て「あー中は吹き抜けになってて採光のために付いてるんだな」と思ったらただの2Fの子供部屋だったりして残念感が4割増し。

という感じで小上がり畳コーナーのダサい要素を抽出。我が家ではこれらを反面教師として、同じ小上がり畳コーナーでありながらダサくならないように工夫した。

ちなみに、これだけダサいダサいと書いてるのだから小上がりやめたらいいじゃんと思わなくもないが、小上がりは譲れないコダワリポイントだから。オプション代10万円請求されても譲れんから。


さて、我が家で工夫したこと。

  1. 角の柱はなくす。できる場合と、構造上できない場合があるが、できない場合は木目の露出した化粧柱とする。
  2. 幅の短い方の壁は奥行きが少なくても床の間を作る。畳部分を削ってでも作る。なにも置かなくても作る。とにかく作ればのっぺりした閉塞感が和らぐ。
  3. 押入れは作らない。どうしても作るならクローゼットにして明るい木目の扉とかにする。ビニールクロスとか襖にはしない。
  4. 小上がり収納は作らない。本当は我が家も作る予定だったけど1つ3万円の高額な見積り額に呆れてすぐやめた。このときはダサいとか考えてなかったから予算に余裕があったら収納にしてたかも。怖い。
  5. 壁に囲まれるとどうしてものっぺりしてまうから一番大きな壁に障子窓を設ける。壁の向こう側が屋外の場合はサッシ窓になって物々しくなるからNG。
  6. リビングとの境界は障子とかで仕切らない。仕切ろうと思うと最低でも障子一枚分の閉鎖領域ができる。それがリビングから見たときのスッキリ感に影響する。さらに畳コーナーの縁には障子が走るレールができてしまう。見た目にもダサいし座った時に不快な凹凸となる。仕切ることのメリットは特にないから障子はいらない。


で、完成した。


2F間取り図



リビングからパチリ


我が家の畳コーナーは2Fにあるからか、角の柱はいらなかった。ただ壁の終わりは通常ではクロス巻きになるからここは化粧柱にした。写真の両端にある柱がそれ。左側はぼくの強い希望で化粧柱にした。けどこの柱、いろんな方向から壁が当たるからノーマルな105ミリの柱では幅が足りないとのことで設計さんが130ミリの柱にしてくれた。おかげで大黒柱みたいになった。

床の間もしっかり確保。和風のスタンドライトが置けるようにコンセントも備えてる。

我が家は2Fに収納専用の部屋を作ったから畳コーナーに収納はいらない。押入れなし。

小上がり収納もなし。畳コーナーの縁は設計さんのアイデアで玄関框用の部材をグルリと取り付けてスタイリッシュにフロート感を出した。左側にある巣箱のような穴、その部分の壁がポッコリ外れるようになっている。この中には無線LANルーターが入る。ここは建物のほぼ中心、水平方向にも垂直方向にも中心だから家中に電波が届くかなと期待。今は穴だけどパッと見開閉できることがわからないくらいのスッキリ壁になる予定。

障子窓はぼくの強いコダワリ。この障子窓の向こう側は階段。だから障子窓にできるし外と連絡するサッシ窓と違って和室用の造作材が使用できる。これが畳とマッチしててイカす。階段の照明がこの障子窓の下に取り付けられていて障子を閉じて階段の照明を点けると障子の向こう側がぼんやり灯ってえらくムーディーになる予定。開くと階段の壁紙、金色の竹林を鑑賞できる。障子の前に立つと落ちそうでちょっと怖い。

階段から見上げる。右側が畳コーナー。


こうして完成した姿を見てみると、これまで散々diisってきた普通の畳コーナーとそんなに変わらんかも。でも自分たちなりにすごく考えて工夫してアイデアだしてイメージして造ってきたから。

ここはぼくらがもっとも自慢したくなる、至福のくつろぎ空間となるところ。

3畳の小宇宙。

狭小ユートピア。



Sep 6, 2017
waguri









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【撮影】和栗のお宅訪問