ふつうは、なにも作らない。
余ったスペースは角に集めて削り取る。そうすれば一坪あたり50万円節約できる。
削った結果、どうなるか。
家の形がイビツになる。1Fと2Fの形が違う、大きさも広さも違う、イビツな形の家になる。
でも、そんな家はいくらでもある。しかもちゃんと設計士が知恵や工夫やアイデアや知識や経験や勘や残業時間をたっぷり使って見た目には変にならないように建てている。
わが家の場合、設計士さんの作った最初のプランでは綺麗な四角形をしていた。その後、ぼくらがLDKはもう少し広くとか、4.5畳の和室じゃなくて3畳くらいの畳コーナーが欲しいとか、階段はスケルトンの直階段にとか、2Fにトイレ要らないとか、施工面積は30坪内でとか、いろいろ注文して何度か修正していくうちに家の形がイビツになっていった。
こんなんなっちゃった |
2F間取り図では左上のイッカクが削られている。広さはちょうど1坪。なんの知恵も工夫も見当たらないからきっと設計士が残業を嫌がったに違いない。必要ないスペースだから削られた。ここの1Fは広さがぴったり同じのバスルーム。
屋根の形は2Fの形が反映され、そのまま四角形から角を取った形になる。2Fのない1F部分には下屋と呼ばれる小さな屋根がつく。
ぼくはあまり気にならなかったんだけど、ここでまた妻が発作を起こす。「他人にはなかなか理解されにくいコダワリ発作」だ。
妻はずっと、あの角が気に入らないといっていた。バスルームの上の下屋もダサいと言っていた。「まあねぇ。」なんて適当に相づち打ちながらそのうち見慣れるだろうと軽くイナしていたが、妻が慣れることはなく、本当にずっと言い続けた。
あの角が気になる
あの角が気に入らない
あの角どうにかならんかな
屋根の形が変やわ
家の形が変やわ
下屋ダサいわ
よっぽど気に入らないんだな。妻は確実に角を埋めたがっている。なんかしらの屋内スペースを確保して。しかし家の形が気に入らないからといって無駄に施工面積を増やすわけにはいかない。1坪50万円の増額になるんだから。
こうして、角を埋めたがっている妻と、これ以上施工面積を増やしたくないぼくの間で、目には見えない睨みあいが続いていた。
ある日、妻が動いた。ずっと温めていたのか、その時ふと気づいたのか、どちらかはわからないが、とっておきの決め球を放ってきた。
「収納が足りない気がする」
収納?2Fにある収納といえば・・・
- キッチンキャビネット
- カップボード
- ウォークイン本棚
以上。
だけ?まてよ、えっと、あれ?
畳コーナーの小上がりを利用した引き出し収納は1つ3万円もするし、よく見るとダサいからやめた。広縁の端っこに作ってた押入れは手洗いと本棚に変わった。
わが家ではモノを入れる家具、棚とかカラーボックスとかそういった類のものをどこにも置かないと決めている。だからモノをしまう場所はクローゼットとか押入れとか物入れとか倉庫とか、なんらかの収納スペースを作る必要がある。
そうだった。広縁の収納がなくなったの忘れてた。そうなると確かに収納が足りない。ちょうど1坪くらいの倉庫のような、なんでも片付けられるスペースが欲しいところではある。
その用途に、あの角はまさにうってつけ。北側の陽が当たらない場所で居住スペースとしては使いにくい。が、キッチンやサービスバルコニーに近く、リビングからは見えず、その存在すらわからない。ここなら電話の親機とかインターネットのルーターを設置して基地局にすることもできる。そうなればリビングもスッキリする。
ついでに家の形もスッキリする。
シャキーン! |
こりゃ一石二鳥やわ
いや、三鳥、四鳥やわ
ん?鳥なら一羽二羽じゃねえか
まあいいか
Aug 30, 2017
waguri
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